見積もりや値付けで「粗利率30%で」と言われたとき、原価に30%を足せばよいのか、それとも別の計算なのかで迷う方は多くいます。
粗利率は「粗利 ÷ 売上 × 100」で求めます。粗利は、売上から売上原価を引いた金額です。この記事では、計算式と原価率との関係を確認したうえで、目標の粗利率から売価を出す方法、原価に上乗せする計算との違い、値入率との違い、Excelの式を順に説明します。
粗利 = 売上 − 売上原価
粗利率 = 粗利 ÷ 売上 × 100
売価1,000円で原価700円の商品なら、粗利は300円、粗利率は 300 ÷ 1,000 × 100 = 30%です。
会社全体の粗利率を出す場合は、損益計算書の「売上総利益」が粗利にあたります。売上総利益 ÷ 売上高 × 100 が、その期の粗利率です。
原価率 = 売上原価 ÷ 売上 × 100
粗利率と原価率は、同じ売上を「粗利」と「原価」に分けたものなので、2つを足すと必ず100%になります。粗利率30%なら原価率は70%、原価率35%なら粗利率は65%です。どちらか一方が分かれば、もう一方は100から引くだけで出せます。
原価が決まっていて、粗利率を決めて値付けをしたい場合は、次の式を使います。
売価 = 原価 ÷(1 − 目標粗利率)
原価700円で粗利率30%にしたいなら、700 ÷(1 − 0.3)= 700 ÷ 0.7 = 1,000円です。割り切れない場合は、円未満を切り上げます。原価1,000円で粗利率35%なら、1,000 ÷ 0.65 = 1,538.46… なので1,539円です。切り捨てると、粗利率がわずかに目標を下回ります。
反対に、売価が先に決まっていて、原価をいくらまでに抑えればよいかを知りたい場合は、原価 = 売価 ×(1 − 目標粗利率)です。売価1,000円で粗利率30%なら、原価は700円までに抑えます。
売価の逆算や許容できる原価は、粗利率計算ツールに原価と目標の粗利率を入れると、上乗せした場合の粗利率と並べてすぐに確かめられます。
原価700円に30%を上乗せすると、700 × 1.3 = 910円です。このときの粗利は210円で、粗利率は 210 ÷ 910 × 100 ≒ 23.1%にしかなりません。粗利率は売上を分母にするのに対し、上乗せ率は原価を分母にするためです。
原価への上乗せ率と、そのときの粗利率の対応は次のとおりです。
| 原価への上乗せ率 | 粗利率 | 原価700円のときの売価 |
|---|---|---|
| 10% | 約9.1% | 770円 |
| 20% | 約16.7% | 840円 |
| 30% | 約23.1% | 910円 |
| 50% | 約33.3% | 1,050円 |
| 100% | 50.0% | 1,400円 |
上乗せ率から粗利率を出す式は「上乗せ率 ÷(1 + 上乗せ率)」です。見積もりで「粗利30%」と言われたのか「30%上乗せ」と言われたのかで、売価は1,000円と910円で90円違います。社内や取引先とは、どちらの意味かを確かめてから計算してください。
値入率は、値付けをした時点で見込んでいる利益の割合です。売価を基準にした値入率(売価値入率)は、粗利率と同じ式「(売価 − 原価)÷ 売価」で計算します。原価を基準にした値入率(原価値入率)は、上で説明した上乗せ率と同じ考え方です。どちらの基準で言っているかは、業界や会社で違うので確認が必要です。
粗利率は、実際に売れたあとの結果です。値引きをしたり、売れ残りや廃棄が出たりすると、実際の売上が減るので、粗利率は値入率より低くなります。売価1,000円・原価700円で値入率30%の商品を、値引きして900円で売った場合の粗利率は、(900 − 700)÷ 900 × 100 ≒ 22.2%です。予定より約7.8ポイント下がっています。
売価をB2、原価をC2に入れた場合の式です。
| 求めるもの | 式 |
|---|---|
| 粗利 | =B2-C2 |
| 粗利率 | =(B2-C2)/B2(書式をパーセントに) |
| 原価率 | =C2/B2 |
| 目標粗利率(D2)からの売価 | =ROUNDUP(C2/(1-D2),0) |
売価が0円の行があると、粗利率の式がエラーになります。=IF(B2=0,"",(B2-C2)/B2) のようにしておくと、空欄で表示されます。
・原価に何を入れるかをそろえる:仕入値だけを原価にするか、送料や外注費、案件にかかった人件費まで入れるかで、粗利率は大きく変わります。受託開発や工事のように人の作業が中心の仕事では、人件費を入れないと粗利率が実際より高く見えます。案件ごとに原価を集める方法は、個別原価計算とはで解説しています。
・粗利率だけで判断しない:粗利率が高くても、固定費を回収できなければ会社としての利益は残りません。案件ごとの採算の見方は採算管理とはで、売上がいくらあれば黒字になるかは損益分岐点売上高とはで確認できます。
・業種で水準が違う:粗利率の高い・低いは、同じ業種や自社の過去の数字と比べて判断します。
仕入れや卸取引で使う「掛け率」と粗利率の関係は、掛け率とはで解説しています。
売上から売上原価を引いて粗利を出し、粗利を売上で割って100を掛けます。売価1,000円・原価700円なら、粗利300円 ÷ 1,000円 × 100 = 30%です。
売上の30%が粗利として残り、残りの70%が原価だという意味です。1,000円で売れたら300円が粗利です。原価に30%を上乗せした価格とは違い、原価700円なら売価は1,000円になります。
値入率は値付けをした時点の予定の利益の割合で、粗利率は実際に売れたあとの結果の割合です。値引きや売れ残りが出ると、粗利率は値入率より低くなります。
粗利率は「粗利 ÷ 売上 × 100」、原価率と足すと100%になります。目標の粗利率から売価を出すときは「原価 ÷(1 − 粗利率)」で、原価に同じ率を上乗せする計算とは結果が違います。値付けの段階の値入率と、売れたあとの粗利率の差も確かめておくと、値引きやロスの影響が見えるようになります。売価基準・原価基準の値入率と値引き後の粗利率は、値入率計算ツールで計算できます。