「データベースは何を使えばいいですか」という質問には、実は正解が1つではありません。PostgreSQL、MySQL、MongoDB、Redis——それぞれ得意な領域が異なり、プロジェクトの性質によって最適な選択は変わります。
この記事では、代表的なデータベースの種類を一覧で整理したうえで、選び方の考え方をまとめます。
まずは、実務でよく使われる代表的なデータベースを一覧で比較します。
| DB・サービス | 種類 | 無料/有料 | クラウド | オンプレ | 主な特徴 | 向いている用途 | 代表的な利用例 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| PostgreSQL | RDB | 無料OSS | ◎ | ◎ | 高機能。複雑なSQL・JSON・拡張機能に強い | Webアプリ、業務システム、SaaS、分析 | Instagram、位置情報を扱うサービス |
| MySQL | RDB | Community版無料/Enterprise有料 | ◎ | ◎ | 普及率が高く、Web系で使いやすい | Webサイト、EC、CMS、一般的なWebアプリ | WordPress、多くのレンタルサーバー環境 |
| MariaDB | RDB | 無料OSS/商用サービスあり | ◎ | ◎ | MySQLから派生。MySQLとの互換性が比較的高い | Webアプリ、MySQL代替 | WordPress.com、多くのLinuxディストリビューションの標準DB |
| SQLite | 組込型RDB | 無料 | △ | ◎ | DBサーバー不要。1ファイルで動作 | 小規模アプリ、スマホ、試作、ローカルアプリ | スマホアプリ内蔵DB、ブラウザ(Chromeの履歴管理など) |
| Microsoft SQL Server | RDB | 無料版あり/本格利用は有料 | ◎ | ◎ | Microsoft製品との連携が強い | 基幹システム、Windows系業務システム | 社内の販売管理システムなど、Windowsサーバー中心の業務システム |
| Oracle Database | RDB | 無料版あり/企業利用は主に有料 | ◎ | ◎ | 大規模・高信頼性・企業向け機能が豊富 | 大企業、金融、基幹システム | 銀行・証券会社の勘定系システムなど |
| MongoDB | NoSQL・ドキュメントDB | 無料版/有料クラウドあり | ◎ | ◎ | JSONに近い形式で柔軟にデータを保存 | Webサービス、ログ、柔軟なデータ構造 | アクセスログの蓄積、商品属性が商品ごとに異なるECサイト |
| Redis | NoSQL・Key-Value | OSS/クラウド有料あり | ◎ | ◎ | 非常に高速。主DBよりキャッシュ用途が多い | キャッシュ、セッション、ランキング | SNSのタイムラインキャッシュ、ゲームのランキング機能 |
| Amazon RDS | クラウドDBサービス | 有料・従量課金 | ◎ | × | PostgreSQL等の運用・バックアップをAWSが管理 | AWS上のWebアプリ | 自前でDBサーバーを管理したくないAWS上のSaaS |
| Amazon Aurora | AWS製RDB | 有料・従量課金 | ◎ | × | MySQL/PostgreSQL互換、高可用性・高性能 | 大規模Webサービス、SaaS | アクセス急増に耐える必要がある大規模ECサイト |
| Amazon DynamoDB | NoSQL | 従量課金 | ◎ | × | サーバーレス・大規模アクセスに強い | 大量アクセス、IoT、Webサービス | IoTデバイスからの大量データ収集、モバイルゲームのユーザーデータ管理 |
イメージが湧きにくいものもあるかもしれませんが、たとえばRedisは「頻繁にアクセスされるが、消えても致命的ではないデータ」の高速化に、MongoDBは「商品ごとに項目数がバラバラなECサイトの商品情報」のように、事前にきっちり型を決めにくいデータの保存に使われることが多い、というくらいの温度感で捉えてもらえれば十分です。
DB設計そのものの重要性については、 DB設計を軽視すると開発コストは100倍に? もあわせてご覧ください。
「結局、実務で一番使われているデータベースはどれなのか」も気になるところですが、正直なところ正確な導入数は誰にも計測できません。無料のOSSと有料製品が混在しているうえ、企業が自社の利用DBをすべて公開しているわけではないためです。
そこで広く参照されているのが、DB専門サイト「DB-Engines」が毎月公表している人気度ランキングです。検索エンジンでの言及数・求人情報での言及数・SNSでの言及数などを組み合わせて算出される指標で、実際の導入数そのものではありませんが、市場の関心度やトレンドを見る目安として使われています。
| 順位 | DB | 種類 |
|---|---|---|
| 1位 | Oracle Database | RDB |
| 2位 | MySQL | RDB |
| 3位 | Microsoft SQL Server | RDB |
| 4位 | PostgreSQL | RDB |
| 5位 | MongoDB | NoSQL・ドキュメントDB |
※DB-Engines Rankingをもとに作成。上位の顔ぶれ自体は年単位で大きくは変わりませんが、スコアは毎月変動するため、最新の順位は都度サイトでご確認ください。
注目したいのは、この数年でPostgreSQLが着実にスコアを伸ばしている点です。かつては「Oracle・MySQL・SQL Serverの御三家」が長らく安定していましたが、無料でここまで高機能なOSSであることや拡張機能の豊富さが評価され、直近ではSQL Serverとの差が縮まりつつあります。2026年上半期の集計でもPostgreSQLは主要DBの中で最もスコアを伸ばしており、この勢いが今後も続けば、いずれ順位が入れ替わる可能性があります。
また、上位5位の中にMongoDBのようなNoSQLがランクインしていることからも分かる通り、「RDB一強」の時代から、用途に応じてNoSQLやデータウェアハウス、AI活用を前提としたDBMSまで選択肢が多様化しているのが、ここ数年の大きな流れです。ここからは、その2つの大分類であるRDBとNoSQLの違いを詳しく見ていきましょう。
RDB(Relational Database)は、データを「行と列」からなる表形式で管理し、表同士を関連づけて扱うデータベースです。PostgreSQL・MySQL・MariaDB・SQLite・SQL Server・Oracleはすべてこのタイプに分類されます。
あらかじめ決まった構造(スキーマ)に沿ってデータを保存するため、データの整合性を厳密に保ちやすく、複雑な条件での集計や検索にも強いのが特徴です。多くのWebアプリ・業務システムでは、まずRDBが第一の選択肢になります。
NoSQL(Not only SQL)は、RDBのような表形式にとらわれず、より柔軟な形でデータを扱うデータベースの総称です。代表的なものに、JSONに近い形式で保存する「ドキュメント指向DB」(MongoDBなど)と、キーと値の組み合わせで保存する「Key-Value型DB」(Redisなど)があります。
サービスによって保存したい項目がバラバラだったり、事前にスキーマを固めにくかったりする場合に向いています。一方で、複数のデータ間の整合性を厳密に保ちたい処理は、RDBに比べると設計の工夫が必要になります。
ここまでの内容を踏まえて、実際に自分のプロジェクトに合うデータベースを診断してみましょう。
プロジェクトの条件を選んで「診断する」を押してください。
Amazon RDS・Aurora・DynamoDBのように、クラウド事業者がサーバーの運用・バックアップ・スケーリングを代行してくれるサービスもあります。PostgreSQLやMySQLそのものを使う場合でも、自前でサーバーを構築せず、こうした管理型サービス上で動かすという選択肢が実務では一般的です。
インフラの選び方全般については、 AWS・GCP・AzureとVPSの違いを比較 でも整理しています。
特に検討されることが多い2つの組み合わせについては、個別記事で詳しく比較しています。
データベース選びに絶対の正解はありませんが、「データ構造が決まっているか」「同時アクセスの規模」「運用体制」という3つの軸で考えると、選択肢はかなり絞り込めます。
まずは診断デモで方向性を確認し、気になる組み合わせがあれば個別記事で詳しく比較してみてください。