SWOT分析をAIで効率的に行う方法

SWOT分析は、事業計画書や補助金申請、経営会議などで幅広く使われる定番のフレームワークです。しかし実際にやってみると、「マス目は埋まったが、結局何をすればいいのか分からない」「思いつきの単語を並べただけで終わってしまう」という声もよく聞きます。

原因の多くは、SWOT分析そのものが悪いのではなく、進め方にあります。特に多いのが、同業他社と比較せずに自社の強み・弱みを決めてしまうことと、機会・脅威をインターネット上のデータで裏付けずに感覚で書いてしまうことです。自社の内部情報だけで完結させたSWOT分析は、一見それらしく見えても、実態とズレた思い込みになりがちです。

そこで本記事では、SWOT分析の基本を整理したうえで、業種別のサンプルをマトリクス形式で確認できるツールと、同業他社との比較やインターネット上の情報を踏まえたSWOT分析を、生成AIチャットに依頼する文章としてその場で作成できるツールを紹介します。あわせて、SWOT分析は一度作って終わりにせず、繰り返し見直していくべき理由についても解説します。

SWOT分析とは何か

SWOT分析は、自社を取り巻く状況を4つの要素に分けて整理するフレームワークです。縦軸に「プラス要因/マイナス要因」、横軸に「内部環境/外部環境」を置き、次の4象限で考えます。

ポイントは、「内部環境(自社でコントロールできること)」と「外部環境(自社の努力だけでは変えられないこと)」を分けて考えることです。この区別があいまいだと、強みと機会、弱みと脅威が混ざってしまい、後の分析が進めにくくなります。

SWOTマトリクスのサンプル

言葉だけで説明するより、実際のマス目を見た方がイメージしやすいので、業種別のサンプルを用意しました。タブを切り替えると、記入例が変わります。

SWOT分析マトリクス

縦軸は「プラス要因/マイナス要因」、横軸は「内部環境/外部環境」です。業種を切り替えると、記入例が変わります。

プラス要因 マイナス要因 内部環境 外部環境

S|強み

    O|機会

      W|弱み

        T|脅威

          ※ここでは分かりやすさのためにマス目を分けて示していますが、実際の分析では「強み×機会」「弱み×脅威」のように掛け合わせて戦略を考えるクロスSWOT分析まで行うと効果的です。

          事業計画書の中で、目的(融資・補助金・投資家向けなど)によってどこを強調すべきかは変わります。目的別の書き方の違いは 事業計画書の種類と目的別の書き方 のマトリクスでも整理しているので、あわせて確認すると全体像がつかみやすくなります。

          比較なき強み・弱みは、思い込みにすぎない

          SWOT分析でよくあるのが、自社だけを見て「強み」「弱み」を書き出してしまうケースです。しかし、自社の中だけを見て「対応が早い」「品質が高い」と書いても、それが本当に強みかどうかは、同業他社と比べてみないと分かりません。同業他社も同じレベルで対応が早く、品質も高いのであれば、それは強みではなく「業界標準」でしかない可能性があります。

          弱みについても同様です。自社だけを基準にすると、些細な課題まで弱みとして挙げてしまったり、逆に致命的な弱みを見落としたりします。同業他社と比較して初めて、「どこで負けているのか」「どこなら勝てるのか」が見えてきます。

          事業計画書や補助金の審査でも、「自社はここが強い」という主張だけでは説得力を持ちません。「同業他社と比べてここが違う」という比較があって初めて、差別化ポイントとして評価されます。だからこそ、このあとのツールでは、まず同業他社の社名と特徴を入力する項目を用意しています。

          機会・脅威は、データの裏付けがなければ説得力を持たない

          機会・脅威は、市場や社会など外部環境の変化を扱う要素です。ここを「なんとなく追い風な気がする」「なんとなく不安がある」という感覚だけで書いてしまうと、根拠のない主観にすぎず、読み手を説得する材料にはなりません。

          本来であれば、業界の市場規模や成長率、検索トレンド、統計データ、競合の動向といった、インターネット上で確認できる情報を調べたうえで、機会・脅威を裏付ける必要があります。しかし、こうした情報収集には時間がかかるため、多くの場合は省略されたまま「なんとなくのSWOT分析」で終わってしまいます。

          生成AIは、こうした情報収集の負担を大きく減らしてくれます。業種や自社の状況を伝えたうえで「インターネット上の情報や統計データを踏まえて機会・脅威を考えてほしい」と依頼すれば、感覚だけに頼らない、裏付けのある機会・脅威の候補を短時間で得られます。

          自社の中だけで完結させると、間違った思い込みになる

          ここまでの内容をまとめると、SWOT分析には2つの落とし穴があります。1つは、強み・弱みを同業他社と比較せずに自社内部の感覚だけで決めてしまうこと。もう1つは、機会・脅威を裏付けとなるデータなしに、感覚だけで決めてしまうことです。

          どちらも共通しているのは、「自社の内部の情報だけで完結させている」という点です。社内の会議室で、社内の人間だけで、社内の情報だけを使ってSWOT分析をすると、一見もっともらしい表ができあがっても、実態とはズレた「思い込みのSWOT分析」になりやすくなります。

          これを避けるには、外部の視点を強制的に組み込む仕組みが必要です。具体的には、①同業他社という比較対象を必ず入れること、②機会・脅威はインターネット上の情報・データを調べたうえで考えること、の2つです。この2つが揃って初めて、SWOT分析は説得力を持つ材料になります。

          AIを使うとSWOT分析が効率化する理由

          本来であれば、同業他社を調べたり、業界の統計データを探したりする作業には、相応の時間がかかります。忙しい経営者や担当者が、この情報収集にまで十分な時間をかけられないことが、SWOT分析が「思い込み」で終わってしまう最大の理由です。

          生成AIは、こうした情報収集と初稿づくりを大幅に短縮してくれます。同業他社の名前や特徴、自社の強み・弱みと思う点をいくつか伝えるだけで、比較の視点とインターネット上の情報を踏まえたSWOT分析のたたき台を、短時間で用意できます。

          ただし、AIが出す内容をそのまま鵜呑みにするのは禁物です。自社ならではの事情や、現場でしか分からない情報までは、AIも完全には把握できません。AIが出したたたき台を、自社の実態と照らし合わせながら手直ししていく、という使い方が基本になります。

          このツールは、AIに直接つないで自動生成するのではなく、いくつかの質問に答えるとAIチャットに貼り付けるための依頼文(プロンプト)を作成する形にしています。ChatGPTやClaudeなど、普段お使いの生成AIチャットにそのままコピペして使えるので、どのサービスを使っていても活用できます。

          質問に答えるだけでSWOT分析用のプロンプトを作成する

          業種、事業規模、分析の目的に加えて、同業他社の社名・特徴と、当社の強み・弱み・今後のチャンス・リスクと思う点をそれぞれ10文字で入力すると、それらを踏まえてインターネット上の情報からも差別化ポイントや裏付けとなる指標データを考慮したSWOT分析とクロスSWOT分析を依頼する文章がその場で作成されます。作成された文章は画面下のボタンでコピーできます。

          SWOT分析 AIプロンプト作成ツール

          いくつか選ぶだけで、ChatGPTやClaudeなどの生成AIチャットに貼り付ける依頼文を自動作成します。作成した文章は、AIには送信されません。

          ※社名・特徴とも10文字まで。3社まで追加できます
          ※10文字まで。3つまで追加できます
          ※10文字まで。3つまで追加できます
          ※10文字まで。3つまで追加できます
          ※10文字まで。3つまで追加できます

          入力内容はこの画面の中だけでプロンプト文を組み立てるために使用し、外部には送信されません。作成した文章は、お使いの生成AIチャットにコピペしてご利用ください。

          プロンプトの組み立て方や、選択式で依頼文を自動作成する仕組みそのものは、 経営理念をAIで自動作成するツール と同じ考え方を採用しています。経営理念とSWOT分析はテーマは違いますが、どちらも「AIに丸投げせず、自社の情報を整理してから依頼する」ことで精度が上がる点は共通しています。

          プロンプトをコピペした後にすべきこと

          作成したプロンプトをAIチャットに貼り付けると、SWOT分析の表とクロスSWOT分析、そこから導かれる戦略の方向性が返ってきます。ここで終わりにせず、次の3点を確認することをおすすめします。

          AIの出力に違和感がある場合は、「もっと具体的に」「◯◯業界特有の事情を踏まえて」のように追加で指示を出すと、内容の精度が上がります。1往復で終わらせず、対話を重ねながら整えていく使い方が効果的です。

          クロスSWOT分析で戦略の方向性を決める

          SWOT分析で4つの要素を洗い出したら、次に行いたいのがクロスSWOT分析です。強み・弱みと機会・脅威を掛け合わせて、4つの戦略パターンを検討します。

          すべてに同じ熱量で取り組むのは現実的ではないため、自社にとって優先度の高い象限から着手するのが基本です。一般的には、限られたリソースを最大限に活かせる「強み×機会」を軸にしつつ、致命的なリスクにつながる「弱み×脅威」は最低限の対策を打っておく、という優先順位で考えると整理しやすくなります。

          SWOT分析は一度作って終わりにしない

          SWOT分析でもう1つ見落とされがちなのが、「一度作ったら終わり」にしてしまうことです。年度初めや事業計画の作成時にだけSWOT分析を行い、そのまま1年間見直さない、というケースは珍しくありません。

          しかし、競合の新規参入、原材料価格の変動、法制度の改正、生成AIをはじめとする技術の進化など、自社を取り巻く状況は絶えず変化しています。半年前、あるいは数か月前に作ったSWOT分析が、今も同じように成り立つとは限りません。理想をいえば、年に1回ではなく、リアルタイムに近い感覚で、状況が動くたびに見直すくらいの頻度が望ましいといえます。

          同時に注意したいのが、「過去に作ったSWOT分析の結果に、判断が引きずられてしまう」ことです。一度「これが自社の強みだ」と結論づけると、その後は無意識にその結論に合う情報ばかりを集めてしまい、状況の変化に気づきにくくなります。SWOT分析は固定した「答え」ではなく、その時点での「仮説」として扱うことが大切です。

          理想的なのは、SWOT分析を1回きりの作業ではなく、新しい情報が入るたびに更新し、気づきを得ながら繰り返していくプロセスとして捉えることです。同業他社の動き、業界の統計データ、現場からの声など、新たな情報を得るたびに反映していけば、SWOT分析は実態からズレにくくなります。

          このように「頻繁に回す」運用は、手作業だけで行おうとすると負担が大きく、続けるのが難しいものです。しかし、生成AIを使えば、同業他社や機会・脅威の裏付けとなる情報収集、たたき台づくりにかかる時間を大幅に減らせるため、SWOT分析を繰り返し行う運用が現実的になります。ここが、AIをSWOT分析に活用する最大のメリットだといえます。

          SWOT分析の結果を事業計画書に活かす

          SWOT分析やクロスSWOT分析でまとめた内容は、作って終わりにせず、事業計画書の中で「なぜこの戦略を選んだのか」を説明する根拠として使うと効果的です。

          補助金や融資の審査で評価されやすい構成については 審査で評価される事業計画作成ポイント で詳しく解説しています。SWOT分析で見えてきた強みや機会を、数値計画にどうつなげるかは 事業計画書の数値計画の作り方 もあわせて読むと、洗い出しから計画書への落とし込みまでの流れがつながります。

          まとめ

          SWOT分析は、マス目を埋めること自体が目的ではなく、そこから戦略の方向性を導き出すためのフレームワークです。そのためには、自社の内部情報だけで完結させず、比較対象とデータを外部から取り込むこと、そして一度で終わらせず繰り返し見直すことが欠かせません。

          まだ上のツールを試していない場合は、ぜひ一度触ってみてください。作成したプロンプトを普段お使いの生成AIチャットに貼り付けるところから、比較とデータに裏付けられたSWOT分析を、繰り返し回していくところまで進めていくことができます。

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